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圧迫骨折

圧迫骨折・・・高齢者がものを持ち上げたり、お尻をついたり、姿勢を変えたときに起こる病気です。患者さまがよく言われるのは「重いものを持った。腰をひねった。ギクッと腰で音がした。動くと痛い。ねおきで痛い。そうじきをかけた後から腰が痛い。くつしたをはいているときしりもちをついた。」など、些細なちょっとしたことで、椎体に骨折がおこり腰痛がはじまります。骨の弱ったこし骨(椎体)は、あたかも中身のない段ボール箱がつぶれたときの状況に似ています。対処法は、姿勢を正し、ものを自分に近づけて持ち上げる、中腰にならないことが大事です。転倒しないためには、目をつぶって片足で5秒間立つなどの運動を行うことで踵、つま先、膝、腰の筋肉を鍛えてください。万一、圧迫骨折になったときは、高杉内科外科脳外科病院では「セメント治療」を行っています。骨に医療用のセメントを注入することで痛みは消失ないしいちじるしく軽減し、ほぼ全員100%の方に痛みが取れた、痛みがすこしだけのこっているなど、きわめて有効という評価をうけております。治療はうつぶせになり、CTガイドかにて、局所麻酔のもとで、針を椎体に刺入しセメントを正確に目的部位に注入して、1ないし2時間の間に手術処置は終了します。手術処置後12~24時間後より歩行開始し、腰痛はほぼおさまっております。2~3日で完治し、会社などにも出勤しています。(手記あり)、実際の手術処置を下記に紹介します。

脊椎圧迫骨折に対するセメント治療(経皮的椎体形成術)
<椎体圧迫骨折>
Q.脊椎圧迫骨折に対するセメント治療とは? 
 
(図 1)腹臥位にて椎弓根を経由して針先が椎体前1/3にある
A.圧迫骨折した背骨(脊椎)に針を刺して、そこから医療用のセメント(骨セメント、ポリメチルメタクリレート)を注入して、補強固定し、痛みをとる治療のことです(図1)。正式には 「経皮的椎体形成術」といいますが、患者さんにはもっぱら『セメント治療』といって説明しています。
骨粗鬆症などが原因で、背骨が圧迫骨折を起こすと、強い痛みが生じます。これまで、このような骨折の痛みに対して、鎮痛剤の投与や安静、コルセットの使用などで治療してきましたが、痛みがなかなかとれなかったり、高齢者では長期臥床による足腰の弱り、肺炎、痴呆症状が生じて問題でした。


 (図2)圧迫骨折した脊椎にセメントが入れられた3DCT(赤がセメント)

それに対してこの治療では局所麻酔のもと、切らずに針一本でできるので、負担は軽く、また所要時間は30分ほどです。骨由来の痛みに関してはほぼ確実にとれます。治療後の長期安静は不要で、数時間後には離床が可能となります。
つい先日、セメント治療を行った86歳の女性(図2)ですが、治療前は猛烈な痛みのため、声は小声で、寝返りを自分でうつ気力もなくなり、痴呆症状もでてほとんど寝たきりでしたが、セメントを入れたとたん、痛みが消え、自分で歩かれるようになりました。でていた痴呆症状も消え、同室の方と大声で談笑されている姿は全く別人で、治療した我々がびっくりするくらいの回復ぶりです。

Q.経皮的椎体形成術の適応と治療効果について
A.骨粗鬆症や転移性脊椎腫瘍による圧迫骨折の痛み(椎体由来の痛み)に対して適応があります。急性期、慢性期を問いません。ただし術前、責任部位確定のため、MRIが必須です。単純レントゲンだけでは圧迫骨折していても、責任部位かどうかはわかりません。責任病巣の同定さえ誤らなければ術翌日より起立歩行時の骨由来の痛みはほぼ確実に消失し、効果は永続します。痛みから解放され、歩けるようになり、中腰が可能となる等、日常生活能力が改善されます。

Q.経皮的椎体形成術の歴史について
A.今から20年前に、頸椎腫瘍に対して骨セメントの注入を行い、治療しだしたのが最初といわれています。骨粗鬆症による圧迫骨折に対して骨セメントの注入を行い始めたのが10年前で、以降、1990年代後半頃より米国を中心に、骨粗鬆症による圧迫骨折の治療にセメント注入が行われ、その効果が認められるようになりました。当高杉内科外科脳外科病院では(平成16年)より骨セメント療法をおこなっておりますが、 我が国でも強い痛みを伴った圧迫骨折の治療方法として、数年前より一部の医療機関で実施されるようになってきています。

Q.入院期間、費用について
A.圧迫骨折の原因、症状、病変部の状態などによって個人差はあります。歩いて来院された方の多くは現在日帰りまたは数日の入院で治療しています。費用は、昨年(平成23年)より健康保険がきくようになっています。


(図3)術中のCT写真(テスト造影)


(図4-1・2・3)術中写真(針をいれているところ)

Q.具体的な治療方法について
A.手術室で腹ばいになってもらい、局所麻酔を行います。レントゲンで確認しながら、背中から針を脊椎内に進めます(図4-1・2・3)。
針が脊椎内の最適部位にあることを確認するために、造影剤を注入して撮影を行います(図3)。
これで安全を確認した後、歯磨き粉くらいの柔らかい骨セメント(図5-1・2・3)
を、レントゲンで確認しながら慎重に脊椎内に注入し、針を抜去して終了です。通常、治療は30分前後で終了します。骨セメントは約1時間で固まりますが、安全のために2時間程度、ベッド上で安静をとってもらっています。以降は歩行など自由にしてもらいます。患者さんの希望により、翌日には退院可能です。

 
(図5-1・2・3)実際の骨セメントの注入前後とCT映像

Q.合併症について
A.可能性は低いですが、骨セメントに対するアレルギーが生じる場合があり得ます。また骨セメントが脊椎以外に漏れ出た場合、肺塞栓や脊髄損傷の可能性があります。(肺塞栓は同じ種類の骨セメントを用いる人工関節の手術では、0.02%の発生率です。今回紹介した治療では使用する骨セメントが少量であるため、発生率はこれよりも低いと考えられています。)当院では4列マルチスライスCTを駆使して、動態撮影や、造影直近のリアルタイムな画像を何度も確認しながら、あらかじめ最適のセメント注入部位を決めています(図1、図3、図4)。
これに加えて、術前診断、術中支援、セメントの管理など、放射線科、臨床工学科スタッフの協力をえて治療成績向上を図っており、合併症は生じていません。

今回紹介した経皮的椎体形成術は痛みに対して、低侵襲で十分な効果が得られる理想的な治療方法です。圧迫骨折に苦しむ患者さんの福音となれば幸いです。

【患者様手記】
職業がら家庭用ポンプの取り替えに古いポンプを取り外していた時に、腰の骨がグシャーと音がして足がたてなくなり、近くの名医高杉先生に診てもらったら、MRIで見て腰のがつぶれて、たとえ痛みが治っても足のシビレはとれないだろうと云われました。階段の昇り降り・歩くにしても恐怖心が生まれてきて、これからの人生・職業に不安がよこぎりました。
平成二十四年十月二十三日、高杉病院に入院して骨を固める注射を始め、先生方の御努力と技術により、十一月三十日頃より元気になり、平成二十五年一月六日頃より杖をついて少し歩けるようになりました。一月二十日頃より階段の昇り降りが出来るようになり、その間リハビリを続け、現在、自動車の運転をして高杉病院に通ってこれるまでになりました。
これまで良くなるとは思っていなかった。夢のような気持ちで回復出来ましたことを家族を始め関係者大喜びで、高杉先生を始め関係して下さった先生、職員の方に心より感謝をしております。
私も還暦世代のため益々活躍したい。お陰でシビレもありません。

平成二十五年一月二十八日
                               上田井 広元

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